結論から言うと「どちらとも言えない」ということになります。
まず「マウスピースだけで吹く時と管をつけて吹く時とではアンブシュアが違う」という意見ですが、わかるような気もするしちょっと違うような気もします。確かに実際に楽器を吹く場合、音域によって基本のアンブシュアに微妙な唇のコントロールが加わります。つまり厳密な意味ではアンブシュアは変化することになります。しかしあくまでも基本のアンブシュアは一定であると考えるべきです。
アンブシュアが適切かどうかのチェックとして、僕はマウスピースだけでのロングトーン(およびタンギング練習)をすすめています。マウスピース(ベーム式用)のみでhigh-C#付近のピッチが出ているか、吹き始めから終わりまで音質音程が一定かをチェックします。そこが安定した状態で楽器につなげれば、基本的には上から下までほぼ良い音質音程で演奏できるはずです。
一方、管を鳴らすには当然管をつけた状態で吹いてみないことには感じがつかめません。でもおっしゃる通りマウスピースの段階でリードをしっかり震わせられないことには、楽器が鳴らせようはずがありません。
ところでウォーミングアップの目的は、文字通り楽器と楽器を演奏する身体を暖めることにあります。したがって「ウォーミングアップ」である以上楽器をつけてやるのが正しいと思います。楽器を正しい姿勢で構えて、楽器と身体を暖めつつ全身の緊張をほぐしていくイメージです。初級レベルを卒業した人にとってマウスピースでの音出しはチェック目的のトレーニングととらえた方がいいのではないでしょうか。
【谷口英治】
※注:マウスピースのみで吹いて出るピッチをチェックすることには賛否あり。
実際の演奏ではそのポイントに固定して吹くわけではなく、音域によっても変化しているはずである。
ここではあくまでも「噛み過ぎ」「緩めすぎ」チェックの目安としてhigh-C♯というピッチを提示。high-C♯では低すぎるという意見もあればhigh-Dでは高すぎるという意見も。
ようするにその間で安定させられれば標準と考えてよいのでは。
結局のところは楽器から出てくる音質で判断するのがどうも正解のようだ。
谷口(2003.9/26)