<Q> はじめまして。 唐突ですが、谷口さんは、絶対音感についてどう思われますか? 私は幼稚園から約15年ほどクラシックピアノを習っていました。ソルフェージュで調音の訓練も受け、その頃は絶対音感があったと思います。中学・高校でクラリネットを演奏するようになり、大学に入ってからはピアノから離れた生活を送るようになりました。B♭管のクラを、下手ながらも演奏したいたのですが、気づいたら絶対音感が狂ってきて、相対音感しか分からなくなってました。(こういう書き方をすると、クラリネットを愛する谷口さんに嫌われてしまいそうですね。すみません。。) 最近、またピアノ演奏を復活しました。絶対音感を失ったことが非常に悔しいのですが、一度失われた 絶対音感は取り戻すことはできないんですよね?もし取り戻す方法をご存知でしたら、教えてください。 (福岡県 会社員 女性)
まず、僕は絶対音感がありません。持たない者が絶対音感について語るというのも変な話ですが、まわりにいる音楽家の様子や今までに聴いた話をもとに僕なりの意見を述べたいと思います。 結論から言うと絶対音感は「持ちよう」(絶対音感とどのようにつきあうか)が大切なのではないでしょうか。身につけるにこしたことはない能力であることには間違いないのですが、どうやら場合によってはそれが邪魔になることもあるようなのです。 例えばジャズや民俗音楽では正規の音程から外れた音を意図的に使うことがしばしばあります。これが絶対音感の持ちようによっては苦痛に感じる人がいると聞いたことがあります。またご存じのように管楽器のほとんどは移調楽器ですが、これが絶対音感ゆえ気持ち悪く、管楽器の演奏をあきらめたという人もいました。 しかしあらゆる管楽器奏者、ジャズプレイヤーの中には当然絶対音感を持っている人は大勢いるわけです。僕のまわりにもきわめて正確な絶対音感を持ちつついろんなピッチを味わうことができて幅広い表現力を身につけている音楽家がたくさんいます。これが理想的な姿ですよね。 逆に有名な作曲家、指揮者、演奏家で絶対音感のない人もたくさんいるそうです。つまり絶対音感は音楽家であるための必要条件ではないと思うのです。少なくとも持たざる僕はそう信じたいところです。 ですから、しっかりと身につけた絶対音感であれば、クラリネットを吹いたぐらい(?)では失われないはずだし、かりに失ったところで何もあわてることはないんじゃないの、と思うのです。 ちなみに相対音感はアンサンブルには不可欠、これが弱くては音楽ができません。おろそかにしないで磨きをかけて下さい。 【谷口英治】
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