<Q>
 アンブシャーの事なのですが、クラシックとJAZZのアンブシャーは、基 本的に違うのでしょうか?この間、SAXの方の話の中で、クラシックの方は、横に少 しひくのですが、JAZZの方は、真中に寄せるのだそうです。その方が、倍音が増え て、音が太くなるとの事。私も試してみると、確かに太くなり、私は好きな音になっ たのですが、いままで、クラシックでやってきたこともあり、かなり不安定になり、 やりにくいです。しかし ビブラート等がかけやすくなり、その他に有利な事があれば、アンブシャーを変えよ うと思いますが、谷口さんはどう思われますか?意見をお聞かせください。



 結論から言うと、アンブシュアの形はかなり違うかもしれないが基本的には同じ・ ・・というちょっと禅問答めいた意見です。
 
 まずクラリネットに関しては、僕は「全く同じ」であって良いと思います。エディ ・ダニエルズやリチャード・ストルツマンが見事にそれを証明しているではありませ んか。確かにクラシックでは使わないであろうジャズ固有の奏法はたくさんあるし、 クラシックではタブーとされている奏法もジャズでは重要な表現方法だったりします 。でもそれはあくまでも楽器の基本すなわちクラシックの奏法(もともとクラシック の楽器ですから)をある程度マスターした上でのプラス・アルファの部分です。アン ブシュアにしても根本から違うということはありえないと僕は思います。
 
 サックスの専門的なことはわかりませんが、確かにクラシックのサックスとジャズ とではかなりアンブシュアは違うようですね。仕掛けもかなり違っているわけだし。 でも効率の良いリード振動を生むノウハウやピッチのコントロール、タンギング、ブ レスなど基本理念は全く同じだと思います。「ジャズのやり方でクラシックの奏法よ り倍音が増えた」なんてことはないはず。きっと何かの勘違いだと思うんですが。
 
 ですから楽器をいい音で演奏するということにおいて、アンブシュアの基本的な構 造は同じだということです。本当にうまい人(奏法を完全にマスターできている人) はクラシックの仕掛けでも立派にジャズになるし、メイヤーやオットーリンクでもコ ントロールによってクラシックもきちっとできたりするもんです。はなから奏法を使 い分けようと決めてかかるのではなく、クラでもサックスでも「その楽器の良い音の 本質を目指したアンブシュアづくり」というのが正解なのではないでしょうか。

【谷口英治】


 




© Taniguchi Eiji /音楽事務所アーテム 1997-2007

E- Mail: eiji@atem-music.com