<Q>
  はじめまして。
私は高校に入って始めたばかりの若輩クラ吹きです。
始めてまだ半年過ぎなのですが、高音をキレイに鳴らすことができません。 どのようにすれば、美しい高音がでるのでしょうか?
(大阪府在住 匿名希望 高校生 女性)



 はじめまして。多くのクラリネット初心者にとってとても意義のあるご質問なの で、がんばって僕なりの意見をまとめてみます。ちょっと長いですがめげずに最後 まで読んでくれたらうれしいです。
 
 ご質問には「高音を」「キレイに」「鳴らす」という3つの重要なポイントがあ ります。
 まず始めて半年過ぎということで、個人差はありますが、今の段階で無理に「高 音を」作り上げようとしないほうが良いかもしれません。とは言うものの吹奏楽部 の練習等では「そこピッチ低い!」なんて注意されて、初心者が必死になってピッ チをコントロールしようとしているのを見かけます。これによる弊害は、音域が上 がるとマウスピースを強く噛むようなクセがついてしまうこと。その結果ある程度 上達してくると、逆に高音部のピッチがうわずるという症状につながります。
 「キレイに」はその後に「美しい高音」という表現があることから、主に音色の ことを気にしているのだと解釈しました。さて美しい音とはどういう音なのでしょ うか?誰々さん(もちろん世界的名手を目指そう!)のこの音域のこういう音、も っと言うとこの曲のこのパッセージのこの音色、そういうはっきりとしたイメージ が音に対してありますか?耳が鍛えられれば鍛えれれるほどクラリネットの音色は 演奏者によって全然違っていることに気づくはず。人によって「美しい音」「気持 ち良い音」の好みはかなり異なるのです。一般的なクラリネットの「美しいような 気がする音色」のイメージはかなり漠然としたもので、実際のところ無味乾燥なも ののような気がします。まずはっきりとした目標、イメージを持ってください。
 
 さて、実はもっとも重要な部分は「鳴らす」ではないかと思います。ピッチや「 何となく美しいような音色」をとりあえず取り繕ったりすることの大きな問題は、 楽器が鳴らなくなる傾向にあるということです。最初にお話したプレスの強いアン ブシュアはリードの振動を殺したり、息がマウスピースに効率良く入らなかったり します。また「美しいような音」を出すために息のスピードや圧力を抑えたりとい うのもよく見かける症状です。それよりもまず一番大切なのは「楽器をしっかり鳴 らす」ことではないでしょうか。適切なアンブシュアで、腹式呼吸でしっかりと息 を管に送り込む(その結果楽器はよく鳴るはず)ことを心がけていれば、必ずピッ チは安定してきて、音も太く力強いものになります。芯のある音はその先どのよう にでも音色づくりができます。近くで聴いて「美しいような気がする音」も芯がな ければ遠くまで届きません。
 結論としては、とりあえずのピッチや音色よりも、一番「鳴る」ポイント(アン ブシュアや息の入れ方、体の力を抜くこと、ひいてはリードやマウスピース)を見 つけて練習するようにしましょう。現段階においては高音域のピッチが少しぶら下 がるくらいが「正解」かもしれません。練習と研究さえ怠らなければ、後は自分を 信じて突き進んで下さい!

【谷口英治】


 




© Taniguchi Eiji /音楽事務所アーテム 1997-2007

E- Mail: eiji@atem-music.com