マウスピースとリードはクラリネット奏者にとっては、永遠に悩みの種です。悩んでこそ各々味わい深い音色になっていくのでしょうが…。
実はポマリコのクリスタルは僕も愛用しています。1Cという多分ショートフェイシングのものです。現在主に2種類のマウスピースを使っています。メインで使っているのはバンドレンのB45ライヤープロファイル、パワーを求めて3〜4カ月前に5RVライヤーからB40を経てこれに変えました。
ジャズではある程度の(ドラムや金管に対応できるような)音量が要求されるので、ライブなどでは重宝しています。ただし開きがかなり大きいマウスピースなので、ピッチがとりにくい、ピアニッシモでの小回りがきかない、等の問題点があります。この問題点を補うためにポマリコを使っています。透明感のある美しい音色で、ピアニッシモでも音がザラつかず、薄めのリードでも音色がつくりやすいなどの長所がある反面、どちらかというと鳴り(響き)にくいマウスピースだと思います。
この2種類を状況によって使い分けています。というのは実際に演奏する状況を考えると、音楽のスタイル、編成、演奏する場所などの条件によって要求されるダイナミックレンジは随分異なるからです。同じクラシック音楽の中でもソリストとオーケストラ、室内楽あるいは吹奏楽などによってクラリネットの音量はかなり違うと聞きます。ジャズとなるとさらに差があります。人によってはリードはもちろんマウスピース、時には楽器を変えて対応しているようです。そのような面倒くさいことをせずに一つのマウスピースで全て演奏できればよいのですが(もちろんそのための努力を怠ってはなりませんが)、なかなかそのようなマウスピースが無く、多くのプレイヤーが試行錯誤をくりかえしているわけです。
「ポマリコを使ってはいけない」という意見について…その人が自分の大尊敬している師匠ならともかく、楽器やマウスピースに関するコメントはあくまでもその人の主観的な意見なので、(僕の意見も含めて)参考、ヒントの程度に考えた方がいいと思います。要は良い音を出せばいいのです。
クリスタルのマウスピースについて…あまり詳しくはわかりませんが、材質による特徴よりも、やはり形(削り方など)の方が大きいと思います。もちろんクリスタル独特の響きを感じる場合もありますが、気がつかない場合も多いです。ジャズ系のプレイヤーでは藤家虹二氏がクリスタル(確かセルマーのC1スターか2スター)を愛用しています。外国ではパキート・デリベラ(Paquito D'riera)というラテン・ジャズのサックス奏者がクラリネット(クラもめちゃめちゃ上手い)にクリスタル(多分セルマー)をつけています。
【谷口英治】
※注:現在はマウスピースはバンドレンB40プロファイル、リードはウッドストーン3半を使用。
谷口(2003.9/26)