<Q> 20?年ぶりにクラリネットを再開したものですが、中音域の音がこもっていわゆる通りの悪い音になっています。(昔もそんなに良い音ではなかったのですが。)アンブシャーのせいかなと思ってロングトーン、スケール等を日常練習で繰り返していますが、半年を過ぎるものの改善される兆しがありません。 クラはビュフェのRC(Bフラット)、マウスピースはB40、リードはRICO ROYAL3を耐水ペーパで削って使っています。こんな風にしたら音質が良くなるのではとか、いくらやっても人それぞれ限界があるとかアドバイスを頂けませんか。それと昔から厚めのリードで吹くことが出来ずついつい薄いリードを使っており、厚いリードでたやすく吹く人に劣等感を持っていますが、これも音色と関係するのでしょうか。それから厚いリードでも吹ける人と、薄いリードしか吹けない人との差はどこから来るのかも判ればお教えいただけませんか。
ロングトーン、スケールなどを日常練習で繰り返していらっしゃるということですが、ぜひそのまま続けて下さい。一年くらいたって気がついて振り返ってみると飛躍的に上手くなっていたという経験はきっとおありでしょう。途中でやめてしまうと、それこそ今までの努力が水の泡です。 全てのクラリネット奏者(に限らず音楽家)が自分の音については悩んでいます。クラリネットの場合、音色に影響する要因を大きい順に上げてみると、 1.リード, 2.マウスピース, 3.バレル(たる), 4.楽器本体、 そしてこれら全ての前提として演奏者自身の技量ということになります。自身の技量については各自が責任を持って努力することにして、とにかく重要なのがリードです。どんなに良いマウスピース、楽器、そして優れた演奏者であってもいわゆる「あたり」のリードでなければ絶対に良い音は出ません。「練習するヒマがあったらリードを選べ!」という極端な話があるくらいです。良くないリードのために悪い音しか出ず、自分の問題ではないのに悩んでいる方が時間のムダだと思います。それからリードを耐水ペーパーで削ってお使いになっているということですが、リードを自分で削るというのは賛否あるようです。私もたまにトクサで削ったりしていますが、実際のところノウハウを持っていないので成功率は低いような気がします。結論としては、リード選びは時間とお金をかけて(=ひたすら買う)ということになります。 また新品のリードは常に変化し続けます―今日ぴったりだったリードが次の日は厚く感じたり、ダメだと思って捨てていたリードがある日ベストだったり―から、一回試してダメでも日を改めてチェックするようにしましょう。そしておろしたての「あたり」のリードは、初めの1週間ぐらいは徐々に慣らしていく―5、6分以内にとどめ、極端なフォルテや高い音を出さない―ようにすると、好ましい性質が長く安定したリードになります。 ちょっと面倒くさそうですが、結局のところこの方が経済的です。 少し話がズレてしまいましたね。さて、「厚いリードでたやすく吹く人に劣等感を持って」いらっしゃるということですが、私はその逆で薄いリードで軽やかに吹く人をうらやましいと思います。(私はB45ライヤー・プロファイルに石森楽器オリジナルリードの3半〜4を付けています。)厚いリードにも薄いリードにもそれぞれ長所短所(今回は細かく触れませんが)があって、どちらの方が良いとか、ジャズに向くとかいうことはありません。リード、マウスピースは、自分がどのような音を出したいかという個人的な美意識によって、奏法とともに長年かけて決まってくるものだと思います。鈴木章治氏に惹かれてクラリネットをお始めになったということですが、確かに鈴木氏はかなり薄いリードを使っていたようです。あの独特のしっとりとした音色はやはり薄めのリードならではのものです。私のような「仕掛け」ではあのような表現は絶対にできません。ちなみに藤家虹二氏もリードは薄めです。北村英治氏は中くらいか少し厚めのリードのようです(最近は少し薄めになってきたようですが)。私が楽器を始めたときは北村氏の音にあこがれていたのでその名残か(?)いまだに腰のある「仕掛け」が好きというか、そういう奏法になっているわけです。 【谷口英治】
© Taniguchi Eiji /音楽事務所アーテム 1997-2007
E- Mail: eiji@atem-music.com